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訪問看護ステーション外観 東京勤医会には、現在東京・埼玉・千葉に10ヶ所の訪問看護ステーションがあり、病院・診療所や地域の開業医、介護事業所と連携し、地域・在宅で暮らす患者さんたちのパートナーとして、療養を支えています。

訪問看護が制度化される以前から

東京勤医会の事業所は、訪問看護が制度化され、診療報酬で評価される以前から、在宅で療養されている患者さんのところへ訪問看護を実施してきました。「住み慣れた家で暮らしたい」という願いに応える、設立時の理念が現在も受け継がれています。


高齢者世帯の療養を支える

高齢者の一人暮らしや老老介護の患者さんは、在宅での療養に大変な苦労を伴いますが、適切なサポート体制があれば、自宅でその人らしい生活を送ることができます。診療所や訪問看護師は診察や処置だけでなく家族や本人の不安に応える在宅療養のパートナーです。


病院・診療所と患者さんとの橋渡し

訪問看護は、往診よりも長い時間、高い頻度で患者さんと接します。熱がある、いつもと様子が違うなど、患者さんの症状を的確に判断し、病院や診療所につなぎます。幅広い知識と判断力が求められます。


訪問看護日誌から


私のキラリ★看護

ともに泣き、笑い、「その人らしい」生活を
支えたい

柏豊四季訪問看護ステーション・看護師 小林玲子さん

profile
看護師17年、訪問看護は11年目。訪問看護師として働くなかで、「患者さん一人ひとりの『その人らしさ』を大事にする看護」「24時間連携の取れる訪問看護」を志し、柏豊四季訪問看護ステーションへ。

ナースコール

深夜2時にも携帯が鳴ります。患者さんにとっては命綱。正直、大したことではないこともあります。でも、私たちが行くだけで安心する人もいるし、電話で話すだけで落ち着いて「くすり飲んで寝ます」という人もいます。
 患者さんのお宅は、ちょっと遠い病室。緊急コールはナースコールと思えば、病室に看護師が行くのは当然のことだし、必要があれば医師にも連絡をします。患者さんが24時間連絡できて、医師とも24時間連携がとれる体制の訪問看護STってまだ少ないんですよ。でも、24時間対応のステーションだからこそ、「困ったことがあったら、いつでも呼んでくださいね」って患者さんに言えるんです。

くらしを豊かにするお手伝い

 「高齢の方はがんばって生きてこられた、好きなもの食べて、好きなことをしてもいいんじゃないかな。これからを楽しく生きることに全力を注いでもいいんじゃないかな」って、ずいぶん前向きに考えられるようになりましたね。お酒が好きだって言う人はお酒を飲んでもいいと思う。「夕食には家族と晩酌ができるようになりたい」っていうのも大切な目標でしょう?「孫の運動会が見たい」という方は、「車椅子で出かけられるようがんばろう」とかね。患者さんと共通の目標もできてくるんですよ。
 年齢や経済状況だけでなく、抱える病気も患者さんによって様々ですから、訪問看護師には幅広い知識が必要とされます。制度や、補助器具、日常生活用具など、一つ取り入れることで患者さんのできることが増えたり、生活が豊かになるんですよ。勉強すればするほど返ってくるものがある。自分たちのやった看護が結果として見えてくることが、一番の励みだと思いますね。

「その人らしく」の訪問看護

周辺には古くからの農家も多い

 「その人らしく過ごせる場所で病気とたたかい療養していく」のが私たちの基本。ですが同時に、介護はご家族の生活の上に成り立つもので、「その人らしく」っていうのが、24時間介護するご家族への負担にならないか、いつも考えています。
 できる限りのことをしたいけど、こちらから「こうした方がいいですよ」とはあまり言わないようにしています。患者さんやご家族が努力していることを「がんばってますよね」「ここまででがんばりましたよね」って聞いて一緒に喜ぶ、ということも訪問看護師の役割だと思います。
 患者さんとご家族と、看護師と医師と、みんなが輪の中にいないと「最後までその人らしく」っていうのは難しい。だから、みんなで支えたいんです。

生きている、ということ

 老老介護だったり、ご家族が精神疾患をもっておられて在宅では難しい、という場合もあります。施設とか他の方法を探すこともあるし、その人が望めば病院でもいいんですよ。在宅にこだわるのは患者さんのためだけじゃなく、「これだけおじいちゃんとがんばった」という思い出とともに、おじいちゃんもいつまでもご家族のなかで生きていくと思うから。
 ある患者さんが言ってたんですよ、「誰かが『ただいま』って帰ってくる。食事がまずかったり、味が違ったり、しょっぱかったり、甘かったりする。そういうことも、生きているっていう感じを自分に与えてくれる」って。家にいるからこそ眺められる景色があるんですよね。

看取る家族を支える

 外来や病棟では、元気になって帰っていく人が多いけど、訪問看護では看取りも少なくありません。私たちの手によって、在宅にいた期間に少しでも穏やかに過ごせたであろうってことが私たちの励みなんです。
 4日間だけ家に帰られた60代の方は、治療方針を決められない奥さんを気遣って「あと少しなら、がんばれる」と話され、家族で話し合った結果、末梢点滴が開始されました。ご主人は「お金に困んないのかい。大丈夫かい。大丈夫かい」としきりに心配されていました。3日目には散髪も入浴もできましたが、4日目に急変。動揺するご家族に「思い出話など、家族の時間を」とお勧めしました。奥さんは「私も娘も大丈夫だから。がんばってくれてありがとう」って話されて…患者さんは頬に涙をつたわらせて静かに亡くなっていかれました。
 「もう数ヶ月しかもたない」という告知は、してもしなくてもつらいものです。病名を伝えることより、そのつらさを感じ取って、ご家族が看取ることを納得できるような支え方ができたら、と思っています。

限られた1時間

 その人それぞれに今までの病気の経歴があるし、死生観もご家族の生活状況も経済状況も違いますよね。例えば、がんの末期で、ご本人が一番痛いはずなのに、痛み止めの薬を飲まない、という患者さん…飲むと眠くなる、それで病状が進行すると錯覚しちゃうんです。痛み止めのコントロールがきちんとできれば、少しは息苦しさがとれたり、食べる意欲も出てくるはず。もっとたくさん訪問できれば、コミュニケーションももっと取れるし病状について観察する機会が増えるんですけど、私たちが訪問するとお金がかかる。その患者さんにとっては、週1回以上の訪問は経済的に厳しいわけですよ。医師も、薬の必要性についての説明に難しさを感じています。
 私たちは、限られた1時間しかいられない。医学的な判断と、ご本人やご家族の思いってすれ違うこともあるし、ジレンマの解決には時間がかかります。患者さんには、残された機能や時間を使って「その人らしく」豊かに生きてほしい。「おうちで、いかに病状が安定した状態で過ごしてもらうか」ということに、大半の力を費やしています。

「お母さんがいないと、患者さんが困るから」

 訪問看護って基本的には日中の仕事ですから、既婚者とか子育て中の人も多い。私の場合、24時間対応の所なので、携帯を持っている日は遠出できなくて自由利かないし夜中にも鳴るし、家族には迷惑かけてるなあって思いますけどね。でも小2の娘は「お母さんがお仕事やめると、患者さんが困るから」なんて言ってくれてます。嬉しいですよね。
 今、2人の難病の小児訪問を行っています。「気管切開の吸引が怖い」と言うお母さん、軽管栄養で介護するお母さん…私たちも子どもがいる母親です。看護師の立場を超えて、不安なお母さんたちの気持ちを何とかしたかった。専門外ですから、乳児の往診リハビリを行っている診療所へカメラとビデオを抱えて何度も出かけて勉強しました。お母さんたちは自立的に介護できるようになって、お子さんたちも施設に通園できるまでになって…本当にうれしかったです。
 家庭の事や子育てしながらでも、楽しいから続けて来られたなあ。あっという間に、看護師17年。常に向上心をもてる、この仕事が好き。患者さんとの別れは悲しいけど、自分も成長していけるから終わりがないんです。

患者さんからの電話はナースコール
近くの訪問看護は自転車で

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