
Aさんは江戸川台訪問看護ステーション開設以来8年の長いお付き合いの利用者さんです。腰痛がひどく、1日をパジャマで過ごす日々が続いていました。夫も要介護状態となり、Aさんにマッサージができなくなってしまいました。いろいろなサービスを入れ試みましたが、軽い認知症もあり、マッサージは夫か訪問看護師にしかやらせてくれず、毎日訪問をするようになりました。
●Aさんの目覚め
毎日訪問をする中で、鎮痛剤の使用をこまめに調節し、リハビリもできるようになり、お化粧もすませて準備ができるようになりました。長年の課題だった日中の着替えも済ませて待っていてくださるようになりました。
●「映画を観たい」
16年間ほとんど屋外に出たことがないAさんから、アカデミー賞受賞「おくりびと」が観たいという強い希望があり、小学5年生になる私の息子を連れて、Aさん夫婦と鑑賞してきました。訪問看護のときはパジャマですが、お出かけ時は、白いベレー帽と同じ色のタートルネックのセーターをあわせ、とても上品な装いです。元々きれいな方ですが、お化粧をすると、とても16年も病気をしていたようには見えません。鑑賞後は映画への感動もさることながら、最新の大型映画館に驚かれていました。また、久しぶりに子どもとの関わりをもったことにも興奮されたご様子でした。
帰りにはタッチパネルでオーダーする回転寿司を体験しました。
後日、Aさんは「世の中変わってたのね。家から出なかったからわからなかったけど、うちだけボロボロでビックリした」という話をされ、現在、玄関のリフォームを実行中です。体調が悪いため、ご自身の身体のことに関心が偏りがちだったAさんが、身の回りのことにも気を配るきっかけとなったようです。歩行距離も以前より延長でき、自信がついたようです。
また、「ジャーマンアイリスの絵を描きたい」という言葉が聴かれました。8年以上訪問していますが、花に興味をもたれたのは初めてです。映画を観たという事実だけではなく、その結果Aさんにもたらした気持ちの変化に驚いています。
● 訪問看護を通じて
自宅でのリハビリについて思う
Aさんとの関わりが増えたことが意欲の高まりの一因となれたのではないかと思います。筋力訓練やストレッチをするというリハビリももちろん必要です。しかし、「よくなりたい」という思いへのきっかけや「できた」という自信が心身の機能回復には不可欠です。よくなったら何がしたいのか。病院では寝たきりの患者さんでも在宅ではできることがたくさんあります。目的のある屋外リハビリは保険適応にしてほしいと憤りつつ、外出をきっかけに利用者さん自らの力で回復していく様子をみると、訪問看護冥利につきるものです。その方らしい生活を実現できるお手伝いができるリハビリを実践していきたいと思います。
毎日訪問をする中で、鎮痛剤の使用をこまめに調節し、リハビリもできるようになり、お化粧もすませて準備ができるようになりました。長年の課題だった日中の着替えも済ませて待っていてくださるようになりました。
●「映画を観たい」
16年間ほとんど屋外に出たことがないAさんから、アカデミー賞受賞「おくりびと」が観たいという強い希望があり、小学5年生になる私の息子を連れて、Aさん夫婦と鑑賞してきました。訪問看護のときはパジャマですが、お出かけ時は、白いベレー帽と同じ色のタートルネックのセーターをあわせ、とても上品な装いです。元々きれいな方ですが、お化粧をすると、とても16年も病気をしていたようには見えません。鑑賞後は映画への感動もさることながら、最新の大型映画館に驚かれていました。また、久しぶりに子どもとの関わりをもったことにも興奮されたご様子でした。
帰りにはタッチパネルでオーダーする回転寿司を体験しました。
後日、Aさんは「世の中変わってたのね。家から出なかったからわからなかったけど、うちだけボロボロでビックリした」という話をされ、現在、玄関のリフォームを実行中です。体調が悪いため、ご自身の身体のことに関心が偏りがちだったAさんが、身の回りのことにも気を配るきっかけとなったようです。歩行距離も以前より延長でき、自信がついたようです。
また、「ジャーマンアイリスの絵を描きたい」という言葉が聴かれました。8年以上訪問していますが、花に興味をもたれたのは初めてです。映画を観たという事実だけではなく、その結果Aさんにもたらした気持ちの変化に驚いています。
● 訪問看護を通じて
自宅でのリハビリについて思う
Aさんとの関わりが増えたことが意欲の高まりの一因となれたのではないかと思います。筋力訓練やストレッチをするというリハビリももちろん必要です。しかし、「よくなりたい」という思いへのきっかけや「できた」という自信が心身の機能回復には不可欠です。よくなったら何がしたいのか。病院では寝たきりの患者さんでも在宅ではできることがたくさんあります。目的のある屋外リハビリは保険適応にしてほしいと憤りつつ、外出をきっかけに利用者さん自らの力で回復していく様子をみると、訪問看護冥利につきるものです。その方らしい生活を実現できるお手伝いができるリハビリを実践していきたいと思います。