代々木病院
新宿副都心の高層ビル群と新宿御苑、コンクリートと緑に囲まれた場所に位置しています。60年前、平等にいい医療を受けたいと願う多くの人たちの支援で開設されました。周辺には大学病院・大病院も多くありますが、急性期治療後のリハビリや慢性疾患など、大病院では入院が難しい患者さんが安心して療養できる病院はとても少なく、代々木病院は二次救急や外来も含め、地域の方に身近な医療を担っています。
チーム医療で最良の医療・看護を
慢性疾患、癌終末期患者さんなどの合同カンファレンスを、病棟スタッフだけでなく在宅ケアスタッフ、ご本人やご家族などとともに行います。医師がすべてを決めるのではなく、対等の立場でその方にとって一番よい医療・看護を実践していくために努力しています。

回復期リハビリテーション病棟
急性期の治療後、在宅復帰に向けてリハビリを行っている病棟です。都心の大病院からの転院患者さんがたくさんいらっしゃいます。約30名のリハビリスタッフが個別性のある計画を立て、看護集団も一緒に「その人らしく生活していくために」奮闘しています。

地域ネットワークをいかして
大都会の大通りの後ろには古い路地裏が沢山残っています。一人暮らしの高齢者も多く住んでいます。老老介護、認認介護の世帯も少なくありません。そうした地域で、医師・看護師、ケアマネージャー、地域の方々と一緒にネットワークを作り、安心して住み続けられるまちづくりをすすめています。

私のキラリ★看護
「やっぱりケアがいいんだね」
患者さんの回復を、仲間と一緒に喜び合う
代々木病院・看護師 村井麻衣子さん
profile
健康優良児だった高校時代、1日看護師体験のポスターを学校で見て、代々木病院で体験。そこで、ある患者さんと出会う。「人は病気したり入院したりすると、心も病む。体だけ、病気だけ見るんじゃなくて、心を癒せるような看護婦さんになってください」。病棟師長を務める今も、この言葉が、いつも心にあると言う。
手をかけて、目をかけて、時間をかけて
急性期にいた患者さんも、そこからリハ病棟、そして在宅へ、というのが基本的な流れです。リハ病棟は、在宅支援や社会復帰を大きく掲げてお手伝いしています。
「動けるけど、まだ不安」という人がほとんどだから、トイレや着替えも、とにかく終始見守る、待つ、というルールを決めています。たとえば「失禁をなくしていこう」という患者さんなら、まずはトイレに座ってもらって、トイレの隅でずっと待ってるんですよ。他の患者さんに呼ばれたり、ナースコールが鳴ったりするんだけど、とにかく誰かが最後まで見守る、ということにしています。
トイレで転ぶってすごく多いんですよ。でも、転ばないように見守るルールを決めたり、転んでも怪我をしない環境づくりを分析したり工夫したり、そういうことを日々のカンファレンスでやってきて、私たちの病棟ではもう2年近く「病棟内で転んで骨折」っていうのはないの。これって、すごいことなんですよ。
「限界」を共有する
脳卒中。特に若い方だと、生活がまるで変わってしまいます。回復期病棟では40代で働き盛りっていう方も多い。家族も含めて、今後どう過ごしていくのか...麻痺や後遺症を理解して、受け入れて、気持ちの整理もつけなきゃいけない。こちらが「リハビリ訓練始めますよ」と言って成立することはなくて、自分で目標を持つことでしか始まらないんです。
ご家族のリハビリに対する期待もすごく大きい。「もっと良くなるはずだった」「リハビリをやればすぐに良くなる」「もっともっと」...気持ちは痛いほどわかるんですが...。
一定の限界もある、ということをご家族に納得していただかなければなりません。つらい仕事です。「あきらめてください」とは言えない。仕事や社会への復帰の見込みがない場合は特につらいです。
でも、どこかで誰かが言わなければいけない。医師は「僕が悪者になって言うから、みんなはフォローして」って言ってくれます。でも、そのフォローっていうのがまた難しくて...歩く訓練に付き添っている時それとなく話したり、「今はそっとしておこう」と表情で感じ取ったり...心のケアは、本当に難しいですね。師長という立場ではあるけど、自分より経験年数の長い看護師の会話はとても勉強になります。介護福祉士も、リハビリへのモチベーションを上げるとかレクリエーションを考えるとか、患者さんとの関わり方がすごく上手で、学ぶところが多いんです。
患者さんが、どうしたいか
その方に合った退院後の生活を一緒に話し合います ご家族が目を離した瞬間、駅のホーム下に車椅子ごと落ちて、何ヶ所も複雑骨折した90代後半の患者さん。高齢ということもあって手術はせず、ベット上安静がかなり長かった方でした。コミュニケーションは比較的しっかり取れる方でしたが、リハビリを始めましょう、という時点でなかなかうまくいかなくて...入院の日数制限は過ぎてしまったので、病院の経営的にはマイナスになってしまいましたが、体重かけられる方を鍛えて訓練して、最後は杖で帰って行かれました。
何のためにリハビリするのか。若くても高齢でも、患者さん自身が「どうしたい」「どうなりたい」、というのが大事なんだと思うんですよね。だから、認知症の方が骨折とか脳梗塞になってしまって、なんでリハビリするのか、なんで入院してるのかがわからない、となると難しい。それでも、一人一人の患者さんの個別性を考慮しながら、一つずつ積み上げてきたものが自分たちの自信になっています。治療しているのは医師だけど、看護師が関われば関わるほど、その人が伸びていくって実感するんです。
「患者さんも、私たちも、がんばったね」
うちはすごくケアがいいと思います。まず誤嚥性の肺炎がないし、床ズレなんて、あること自体が病院の恥だと思ってますから。
「床ずれはすべて治りましたので処置はいりません」。他の病院から来た患者さんを在宅に帰す時の合同カンファレンスで、こう言えるのが嬉しいんですよ。足に床ズレができていて退院後のデイケアへの参加は難しいかな、という患者さんも、「(床ズレは)全部治りました」って伝えると、ご家族にも本人にも「デイケアに行けるじゃない! よかったね!」って言ってもらえるのが、やっぱりみんな嬉しいんですよね。
先生も私も、「ケアがいいんだな!」っていつもみんなに言うんです。「患者さん、がんばったね! 患者さんと一緒に、私たちもがんばってここまでできたね!」って、みんなで自分たちのやってきたことを振り返って、自信につなげたい。そういうことを大切にし続けられる職場でありたいです。
ほっとけないグループ
「良くなって、笑顔で、住み慣れたおうちに帰る」っていうのが、多くの患者さんの望みだと思うんです。そこを追求できるのが回復期リハ病棟。
カンファレンスなんて、すごいうるさいですよ。プロ意識って言うんですかね、みんな、こだわるから。セミナーがあれば行きたがるし、勉強して自分のものにしたいっていう気持ちが強いですよね。日々の業務の大変さはあっても、それでも見過ごせない。私たち、「ほっとけないグループ」なんです。良くなって帰る人を見てうれしく思うのと同じで、ほっとけないのも普通のこと。「看護師になりたい」っていう思いも、みんな始まりはそこだったんじゃないかな。
「代々木病院でよかった」
他の急性期の病院で手術した患者さんが、代々木病院の回復期リハビリに入院中、手術した病院の外来を受診することがあるんですね。手術した医師に、リハビリの評価をしてもらうのがいい、という考えもあって受診すると「だいぶ良くなったじゃない。こんなに良くなるとは思わなかったよ~」「代々木病院でリハビリ入院できてよかったね」って言われたって。患者さんを励ましてかもしれないんですけど、そんな報告はうれしいですよね。
「看る」ということ
みんな最初は「技術を高めたい」って考えるけど、実際に高度な医療をやっているのは看護師じゃないですよね。働く場所が変わっても、患者さんとの関わりでの看護師の役割って、結局大きく違わないんじゃないかな。
私たちの看護は、きちんと人を看てる。「その人らしく」を深く考えて追求していける。ある病院の看護師さんは「患者さんが『つらい』って言うのを先生には伝えても、『どこがどうつらいの?』っていう関わりはない。患者さんの体に触れることがない」って言うんですよ。そこに、看護の何があるんだろうって思う。
高校生の時に教えていただいた話なんですけど、「看護の『看』は、手で触れて目で見てっていう『看る』なんだよ」って。それを今、毎日実感してるんです。
地域の患者さんたちは、元気な時はボランティアとして病院を支えてくれる
ご飯が食べられるようになったね、回復を喜び合う
















