東葛病院
東葛病院は、1982年、地域住民の支援のもとに開設されました。1990年民医連に加盟し現在に至っています。2002年に臨床研修病院の指定を受け、隣接する東葛看護専門学校とともに、若い医療人育成機関としての役割も果たしています。首都圏の中にありながら、まだまだ緑多く、病院の横は江戸川、裏手には田んぼが広がるほのぼのした地域で医療活動を行っています。
総合的な医療展開
公的病院のない流山地域の中で、331床を有し、小児・救急から慢性の医療まで総合的に地域の医療を担っています。介護の分野でも、NPO法人・ヘルパーステーション、社会福祉法人・小規模多機能施設との連携で「最後まで安心して」の願いを支えています。

救急医療
救急車の受け入れは、月間160件台。流山市消防管轄で内科搬入の50%を受けており、地域随一の救急車搬入件数です。入院の6割が救急からの受け入れ、地域の救急医療での中核を担っています。モットーは、"断らない"。地域の命を支えています。

小児医療
流山市で唯一の小児病棟を持っており、時間外救急での小児疾患受診者は年間約4000人。東葛地域の小児医療では先進的な役割を果たしています。外来は24時間体制で、常勤の小児科医師は5名。看護師を含めた毎朝の勉強会で、情報共有・治療効果向上に努めています。

私のキラリ★看護
一瞬、一瞬の命をつないでいく重み
忙しさのなかで、見いだすやりがい
東葛病院・看護師 清水宣行さん
profile
東葛看護専門学校を卒業後、東葛病院の外科で3年半、現在の循環器病棟では4年半。看護師として働くことの面白さを感じ始めた今、実習に来る看護学生や新人へ、その魅力を伝えることにも力を注いでいる。
この病棟で、患者の立場に立つということ
厳しい医師体制でも地域の要求に応えるため、3階病棟はHCU(重症患者治療室)と小児8床。メインは循環器です。夜間の入院のほとんどを3階病棟が受けます。多種多様な病気をもつ患者さんに対応するため、より高いスキルが求められています。周りの病院は脳外やリハなど専門分化しつつあります。大学病院などの高額な個室料は、患者さんには重い負担です。気軽に駆け込める病院として、東葛の外来が増えてきているのも、そんな要求を受けてのものです。
HCUはICU(集中治療室)ではないけど、それに近い患者さんが頻繁に運ばれて来ます。ICUのような設備や体制がなくても、かなり近い動きを要求される。そういう意味での緊張感はすごいですね。入ってくるのは重篤な患者さんです。患者さんについての情報が限られていても、その中から必要な情報を選び出し、判断しなければいけません。まず、第一に命を助ける。そのために、自分がどう動けばチームが円滑に動くかを考えます。
患者さんによって、症状も違えば処置も変わります。ご家族を何時間も待たせてしまうこともある。それでも、置き去りにされがちなご家族に、真っ先に思いを寄せることができれば「こういう処置をしました」といった説明に納得して下さると思います。そのことにこそ、精一杯エネルギーを使いたい。
うちは室料差額を取らないで踏ん張っている病院で、経営も厳しい。室料差額を取れば、職員の待遇は改善されるかもしれません。でも、患者さんやご家族を苦しませることにもなります。病院に来られない人や、命を落とす人も出てくる。現状で最大限の努力をするしかないんです。
どこの病院もHCUの夜勤はほとんど2人です。そんな中、東葛病院のHCUは準夜も含めて夜勤3人体制ですが、それでも大変ですよ。今、看護師を増やしていかなければ本当に大変なことになる。人の命と健康に、国がきちんと責任をもってほしいと思います。
つながって見えた、やりがい
はじめは外科をやりたくて入職したんですよ。3年目のローテーションで、今の内科の循環器になった。希望してなかったからショックだったんだけど、急性期の看護は若いうちに経験しておくべきだ、と思い直して積極的になりましたね。外科で基礎をやって、循環器で心臓の血管造影検査やカテーテル治療をやって、中堅としての力はそれなりについてきてるのかなぁ、と思います。
循環器に来て5年、仕事や疾患に対する興味も出てきて、だんだんつながってくるんですよ。知識の点と点が線になるっていうのかな。「もともとベースに糖尿病がある人なんだな。だから動脈硬化が進んで、心臓までダメージ受けるんだな」とか、見えてくると面白さがわかってきますよね。そういうところで、今やりがいを感じ始めています。
「なんで自分だけ、こんなにつらいんだろう」
生死の境をさまよう患者さん。瞬間、瞬間の対応が求められますが、1・2年目の看護師はあたふたして当然だと思います。経験の浅い3人で、急性期の夜勤をまわすこともあります。いつもベテランさんがいるわけじゃないからね。「大変だよな。つらいよな」って思う。1・2年目だけじゃないですよ、そういう時の3・4年目も、スキルが未熟なところで後輩を指導しなきゃいけない恐怖心があるんです。
3階病棟に移ったばかりの頃、経験はあってもとても怖かった。「入院来たらどうしよう」とか「急変が出たらどうしよう」とか...。まだ診断がついてない、病状のわからない人が目の前に運ばれてくると、ほんとつらいんですよ。患者さんに対してもご家族に対しても、「申し訳ない」と思うこともありました。
新人は2ケタで入って来ますが、ひとつの病棟に入ってくるのは2〜3人。1・2年目はチームに入りきれず、孤立しやすいんです。「何で自分だけこんなつらい思いして仕事してるんだろう」っていう思いを、誰にも出せないまま悶々としていると、やりがいや面白さを感じられず時間だけが経ってしまう。でも、絶対みんな同じ道をたどってきてるんですよね。同じ経験をしてきた4年目くらいまでの看護師が気楽に愚痴の言い合える場所は必要です。病院近辺の居酒屋で話をするだけなんですけど。愚痴も言い合って、でも先輩としては、いかに自分が楽しんで仕事しているか、自分たちの仕事の魅力を伝えられるか、ということが大切なんだと思う。明日もがんばろうか~ってなるじゃないですか。
命をつなぐ重み
忙しいなかでも、笑みがこぼれる職場 とにかくいろんな患者さんが運ばれてくる。受け入れのために、ベッドは常に空けています。東葛病院の救急車受け入れは一晩4~5台。遠方からも頻繁に入ります。2階の救急外来に運ばれてきて、入院治療を要する人を3階が治療して、上の一般病棟へ移す。患者さんと気持ちを通わせるっていうのは、時間的にすごく難しい病棟です。
一方で、レスピレーターの患者さんをシャワーに入れたり、そういう踏ん張りをしてる病棟でもあります。こういう取り組みのすごさが、スタッフのやりがいにきちんと結びついているかは大事なところです。特に1・2年目の看護師には「やったよね、よくがんばったよね」って一緒に振り返っていかないと、実感がわきづらい。若い人が定着するには大変な病棟かもしれません。「一人の患者さんに、じっくりかかわって退院までサポートする」。これ、ほとんどみんな抱いて来る理想ですから。
忙しさの中で、「こっちの患者さんに病状の変化があれば、あっちの患者さんをまわれない」とか、患者さんとの会話もないまま1日がなんとなく業務的に終わってしまうっていうこともあります。ただ、一瞬一瞬の命をつないでいく重みにやりがいを感じています。こう思えるようになるまで8年かかりました。
教科書通りにはいかないよ
現場に出てくると、実際すごくギャップを感じる。教科書通りにいかないですから。「だから生身の人間なんだ」っていうことなんだけど、そこをどう自分のものにできるか。実習に来る看護学生や新人には、ここを伝えること、感じ取ってもらうことが大切だと思っています。それに、医療ってどんどん進歩して、今のスタンダードも数年後にはスタンダードじゃなくなることもありますからね。こちらからすれば、新しい医学を学んでいる学生が新鮮だったりもします。
チームがひとつになるとき
すべてチームでやってるでしょ。そのチームの輪の中で、患者さんやご家族とともに医療する、ということが大事なんです。だから、状況把握ができる、空気が読めるということはとても大事。
3階は短期間に病態が変わる患者さんが多い。ということは、チームがひとつになるスピードも要求されます。それぞれのスタッフの力がうまくかみ合って「あの症例は良かった」と評価された時、チームとして「やれた」っていう達成感がもてる。同時に、後輩が同じように感じているかも気になります。そこを引き出すことで、また自分のやりがいにもつながっていくんだと思うんです。
これからの目標、ですか? 空気が読めて、かつ、空気を変えられる看護師になりたいな。
一分一秒を争う救急
対岸のみさと協立病院から望む
















