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第50回 ミュージカル「ミシンガール」公演をリハビリ室で

東京勤医会 看護学生室師長 志田栄里子
●院内で公演するきっかけ
 上演のきっかけは、学生室とかかわりのある女子医大看護学部の学生がミュージカル「キャトル・リーフ」のメンバーであることでした。この団体はNPO法人で、病院や特別支援学校、児童養護施設などで、はば広くボランティア活動を行っているとのことで、東葛病院の高校生ボランティアの日にあわせ、公演をお願いしました。
 ミュージカル「ミシンガール」の舞台は昭和初期、舞台衣装制作が専門の縫製工場。
 女工たちを監督する舎監として工場にやってきた少女リンが見たのは、厳しい舎監とたよりのない工場長、やる気のない女工たちの姿でした。工場を立て直すために奮起するリン。反発していた女工たちもリンの姿に協力するようになります。
 随所に華やかなレビューの場面をちりばめ、仲間と共に情熱をもって働く女工たちの姿を描いたミュージカルです。

●入院中にミュージカルが見られるなんて!
 当日は患者さん70名、ボランティアは高校生・看護学生が12名参加。職員と一緒に約70名の患者さんの搬送やお世話で大活躍。そして団員の看護学生はまるで宝塚の女優さんのように華麗なミシンガールに大変身!
 美しい歌声、華やかな衣装、素敵なダンスに1時間も見入った患者さん。普段とは違う、舞台や照明のあるリハビリ室にちょっと落ち着かなくなる患者さんも。
 会場が暗くなり、華やかなドレスを身にまとった素敵な女性のダンスと歌声に、眠そうな顔をしていた患者さんも、思わずぱっと目を見開きました。
 「いつも10分しか座っていられないのに、もう1時間も見ているよ」と担当看護師もびっくり!
 「まさか入院中にミュージカルが見られるなんて思ってもいなかった。とってもよかったわ!」とキャストに涙で握手。ちょっと興奮気味で普段あまりおしゃべりしない患者さんが饒舌に看護師と会話し病室へ戻られました。

●感動の涙が...
 ALSで寝たきりの患者さんと一緒に参加した娘さんは、「父はミュージカルが好きだったんです。父から『良かった』の言葉は聞けなくて残念だったけれど、こんな素敵なミュージカルを見せてあげられて良かった」と涙ぐんでいました。
 ボランティア学生は、看護師の患者さんへの優しい気遣いに感激! 看護学生は患者さんが震える手で一生懸命感想文を書く姿に感動!
 そしてあこがれの看護師さんが、照明近くにいた患者さんに、照明の熱が頭にあたり熱いのではと車いすの移動をしたのを見て、「看護師さんってすごい。なんて優しいんだろう。ミュージカルを一緒に見ているだけでなく、しっかり患者さんの状態を観察してるんだ」とまたまた感動! あんな看護師になりたいなー。
 仲間と支えあう熱い友情と団結のラストシーンに感激の涙が...。患者さんも患者さんの家族も、高校生も看護学生も、職員も、みんながいっぱい元気をもらった1日でした。

看護NOW