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第58回 精神デイケア『プロジェクトO』の取り組み

新松戸メンタルクリニック 師長 本間ともみ

 新松戸メンタルクリニックの精神科デイケアは、2003年に小規模事業所としてスタートし、2009年7月に念願の大規模事業所として認可を受けました。メンバー(デイケア登録をした患者さんをメンバーと称します)は、これまで受身にこなしていたプログラムを自分達で企画、準備、実施、運営する内容に変化させてきました。

●『プロジェクトO』って?
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 メンバーの中心になってリーダーシップを発揮する――その名も『プロジェクトO(オー)』。はたしてその実態は?(Oは、デイケアの名称を以前オアシスと名づけていたため)毎日のミーティングの司会や月ごとのプログラム作成の進行役です。『プロジェクトO』は2ヵ月ごとに交代をしますが、最近では「今度は〇〇さんがやらないと」とメンバー同志で声を掛け合う姿も見られます。
 これまでに、「工場の見学をしてみたい」との希望に、自分たちで下調べをして工場と連絡をとり見学を実現させたり、「おいなりさんが食べたい」という誰かの一言から、作り方を調べ、買い出しに行き、前日に仕込みをして完成。みんなでおいしく食べたりなど、日々チャレンジを続けてきました。


●日々新しい発見

 そして、昨年の11月からは、「皆で出かけよう」を合言葉に、一日バス旅行を目指して準備が始まりました。資金集めに手工芸品のバザーをすることを決めて、品物選び・材料の手配・工作作業・販売など、みんなで役割分担をしました。
 そんな中、「僕には無理!」と言っていたメンバーが何日もかけて革細工のキーケースを完成させました。キーケースのほかには小物入れ、財布、ブックカバーなどを作成しました。
 また、静かで目立たなかったメンバーが、編み物の腕前を披露して、「○○さんすごいね」と一目おかれる存在になるなど、日々新しい発見があり、成長を実感できる場になっています。全員の様々な取り組みで資金目標は達成しました。


●定期的に「部活の日」
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 以前からあった部活動も、内容の見直しや、やるからには何か目標を持とうと、メンバーの中で話し合いが持たれました。現在、合唱部・軽音楽部・家庭部・マンガ部が活動中です。定期的に「部活の日」がプログラムに組まれるようになり、2ヵ月ごとに計画される誕生会は各部の発表の場になりました。
 中でも合唱部「わたぼうし」は、"新松戸診療所&友の会新年会"への出演依頼をうけ、練習にも熱が入ります。発表会は無事終了。できばえもよくみんなに喜ばれていました。「わたぼうし」の部員も「緊張したけど発表が成功してよかった」と喜び合っていました。


●デイケアへの参加が倍増

 この1年間でデイケアへの参加が倍増しました。それぞれのメンバーが、次の自分のステップを模索しながら活動しています。デイケア担当者をはじめとして職員一同、メンバーの姿に励まされる毎日を送っています。


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