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第62回 療養病棟での調理実習~他職種協動のはじまり~

みさと協立病院 2南病棟看護師長 中村君子

 この春、みさと協立病院に2名の管理栄養士が異動しました。患者さんの療養生活を知り、栄養と食事へ関わりを深めるため、2南病棟で3週間ずつの研修を行いました。

 自分の子どもや孫のような存在の栄養士さんに、患者さん達は大喜び。患者さんのことが少しずつわかってくると、『どのようにしたら、食欲につながるのか?』『自分で調理ができると言っているが、本当にできるのか?』など、アプローチにも専門性が発揮されてきます。


●自分で調理する楽しさを味わう

 退院を控えた糖尿病のAさん。栄養指導では野菜の調理も「できます。できます」と話されていましたが、今ひとつ実感がないようです。また、うつ状態のBさんは、かつて調理師の免許を持ち、魚のさばき方を教える仕事をしていました。しかし、すっかり食べることから遠ざかってしまい、食欲が出てきません。

 そこで、気分転換も兼ねて、外出→買い物→調理の計画を立て実行しました。外出には栄養士と病棟スタッフが付きそい、患者さん自身に食材を選んでもらうことから行いました。表情はいきいき輝き出し、包丁の手も見事に、あじの三枚おろし・たたき・お刺身・ほうれん草のお浸しの出来上がり! スタッフと、食べられる患者さんにもお裾分けし、「楽しかったー」と、患者さんの表情に笑顔が見られました。


●患者さんの意欲を引き出す

 日々の業務に追われる中、看護師のみでこの計画を立て、実行するのは難しかったのではないでしょうか。このような計画を立て実行できたのは、他職種連携の力が働いたことによるものと実感することができました。また、他職種が多方面から患者さんと深くかかわることで、患者さんの意欲を引き出すきっかけを見出し、看護につなげていけるのではないでしょうか。今後、おおいにこの経験を活かし、患者さんの意欲を引き出していきたいです。

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