代々木病院は2009年6月に、一般、回復期リハビリ、障害者の3つの病棟を持つ病院へと機能を変えました。3階病棟はそのうちの、一般・急性期の役割を担っています。

重症の心不全や呼吸器疾患、認知症など様々な患者さんをみつつ、日々の予約入院の他、外来や診療所からの即時入院を受け入れますが、空床がなければ障害者病棟と連携を取り、患者さんに急きょ移動していただきベッドを確保する、といった努力もしています。ベッドの稼働率は毎月100%以上、三つの病棟の要(かなめ)として頑張っています。
また、代々木病院の周囲にはDPCの病院がたくさんあり、まだ状態が不安定なうちに障害者や回復期病棟に転院してくる患者さんもいるため、転院早々治療が必要となって一般へと移ってくるケースもあったりと、とにかくめまぐるしい毎日が続いています。
病棟スタッフの半数は、病院機能の変換以前は外科病棟にいたため、術後元気に退院していくような比較的テンポの早い患者さんから、介護度が高くてじっくりと時間をかけて良くなっていくような患者さんへと、内科病棟での働きにとまどいもあったのではないかと思います。そんな中で、この間学習を重ねながら、「じっくり根気よく、ねばる看護」を体験してきました。
●重症肺炎だったTさん、歩いて自宅へ退院
一人暮らしのTさん。重症肺炎でかなり厳しい状態でしたが、呼吸器はつけずにNIPPVで管理することになりました。肺炎はなかなか改善せず意識もはっきりしない状態が長い間続き、身内の方も私たちも、このままお看取りするだろうと思っていました。Tさんはキリスト教信者であり、ベッドサイドで牧師さんがお祈りすることもありました。が、主治医やナース達の毎日の粘り強い治療とケアに応えてくれたTさん。状態は改善し、車いすで食事ができるまでに回復しました。
一人暮らしでは施設入所するしかないだろう、と施設探しをしていくなか、「家に帰りたい」という言葉が聞かれたため、回復期病棟に転科し、リハビリと在宅調整をして、歩いて自宅へ退院することができました。
●外泊にチャレンジ! 満足気なIさん

呼吸苦を主訴に歩いて入院されたIさん。入院翌日には肺炎と呼吸不全で呼吸器を装着し、家族が泊まり込む日々が始まりました。それからは呼吸器を離脱しては再装着、心不全腸炎、胆嚢炎、血管炎でステロイド療法と小康と悪化を繰り返し、時にはご家族とのすれ違いを修正しながらの1年3ヵ月を送ってきました。
ようやく落ち着いてきたところで今後の療養先を話し合った際、娘さんの「長期療養病院では、またなにかあっても命を救うことができないかもしれない」という思いをうけとめ在宅退院を検討することになり、先日在宅レスピを付けての2泊3日の外泊にチャレンジしました。満足気だったIさん。チームを超えてスタッフ全員で支えてきた患者さんです。
本当にあわただしく忙しい毎日ですが、代々木病院の急性期医療の担い手として、そして患者さんに寄り添う看護をめざし頑張りたいと思っています。