入口を入ると、学校かと間違えるような、飾り付け。おいしそうなぶどうや、かぼちゃ、花が並んでいます。壁には、墨絵や俳句。芸術を感じる部屋です。
先月のイベントは、おはぎづくり。先日はCさんの誕生会でした。今月のイベントは、運動会です。応援合戦と玉入れがメインです。
こんにちは、ここは、診療所2階に併設のデイサービスです。

50歳代のAさんは、30歳代から、筋肉の衰えていく難病になりました。歩行が困難になり、現在は、車椅子も移動も、介助なしにはできません。会話も困難で、アイコンタクトが中心です。食事も困難で、水分・半固形物を介助です。楽しみは、外出できるデイサービスです。6年以上、あびこ診療所デイサービスに通っています。職員は全て入れ替わっているので、歴史を語るメンバーの一人です。新任の私には、うまくコミュニケーションがとれません。
1か月ほど前に、ケアマネージャー、本人、家族、訪問看護の看護師、ヘルパーなど関係者の担当者会議を行い、「今のままの生活をできるだけ続けたい」という本人の希望に添えるよう、介護方法についても交流しました。

先週、ふとしたことで、Aさんは腰を痛めてしまいました。すぐに、ベテラン介護士がマッサージをし、体位の工夫をして、痛みは軽減しました。そして訴えたことは、「ケアマネージャーには言わないで」「看護師に言わないで」「新人の介護士にも言わないで」。
伝えることで、「もう、デイサービスでの生活は困難なので中止したほうがいい」と言われることがいやだったようです。ずっと自分の居場所=社会参加の場所として、「デイサービスに参加していたい」ということが、Aさんの強い希望でした。
デイサービスの日は、にこにこして、参加者や職員(介護士)の行動を見て笑い、時には一緒に歌を歌い、体操をしています。送迎の車からは、外の風景を見て季節を感じ、6年を過ごしてきました。自宅で一人過ごす時間の多い彼女にとって、ここでの生活は楽しいに違いありません。
●利用者と介護士との強い結びつき
その話を聞いて、私は、Aさんとデイサービスの職員との結びつき、信頼感の強さに感激して、彼女の理知的で、やさしさにあふれた言葉に、涙があふれてきました。デイへの、「この生活が好き、このままの参加を続けたい」という強い思いに、看護師に見せない気持ちが出ているのです。看護師より、医師より、もしかして夫より、楽しいひと時をすごし、時には泣いている介護士が、彼女の支えとなっています。
看護師とは違った立場で、利用者を支え、地域の方を守っている介護士の姿に、拍手です。そして、そんな仲間と、患者・利用者を通して協力しあっていける職場から、いろいろ学ばされています。