一昨年、トイレ使用後の利用者さまに転倒事故が発生しました。動作能力について、スタッフ間の認識に差があること。また、その差から各スタッフのトイレ介助方法も様々であったことがわかりました。トイレ介助の必要な方が増えていたこともきっかけの一つでした。
そこで、(1)トイレに関わる事故の再発防止と、(2)介助が必要な方の把握と介助方法を統一することを目的に、月に1回「トイレカンファレンス」(以下、CF)を実施することになりました。

中には実際に便失禁時の対応はしたことがない、排泄介助には全く自信がないというスタッフもいました。トイレCFの時には、悩み相談なども受けつけ、その悩みをスタッフ全員で共有することからスタートしました。悩みが出せるようになったのもCFの副産物......大きな収穫です。
排泄に関することは特にナイーブな問題です。まずは一人ひとりの利用者さまが望んでおられること、気にしていらっしゃること、こだわり等を把握することから始めました。介助に入ったスタッフが細かい情報を持ち寄って、より利用者さまの希望に添えるような介助方法を統一していきました。また、排泄パターンを把握し、失禁予防につなげられるよう、話し合いをしています。
排泄は連続した動作であるため、歩行動作や移乗動作、体調面の管理などという専門的なところは看護師や理学療法士に相談したり、自宅での状況をご家族やケアマネージャーに聞いたりしています。一つ問題意識を持つことで、多職種間の連携が必要になり、相談や連絡を重ねることで、連携力は強まっていくことを実感しました。
「排泄管理表」という各利用者さまの対応方法を記した表を作成し、スタッフが見られるようにし、臨時で入る職員も、ある程度同じ方法でトイレ介助ができるようにしました。

この1年、トイレに関わる転倒事故は0件、同じパターンの失禁の数も減少しています。利用者さまが、安全に快適に過ごせる環境に一歩近づけられたのではないかと考えます。
また、スタッフの意識が変化したことは何よりも大きな産物です。利用者さまについての情報収集力、観察力が自然に身につき、毎日の報告ミーティングもはるかに充実したものになりました。さらに、できないという問題意識をもったことで、介護技術のスキルアップも図ることができました。
何よりも、CFを始めた時点で、自分はできない人間だと言っていたスタッフが、今では自信をもって排泄介助ができていることは素晴らしいことだと思います。また、「とてもいいトイレのお世話をしてもらったよ」と、利用者さまがご家族に話されていたそうです。
●次のCF、何にする?一つの事柄に関するCFを実施したのは、ケアの質を向上させるという点において、有効な方法と考えています。さらによい通所リハビリテーションにしていくために、これからもいくつかの事柄についてCFを設けたいと思っています。まずは、満足度アップを目指した「レクリエーションCF」に取り組みたいと思っています。