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第81回 東葛病院産婦人科病棟再建にかける想い

~助産師としてのやりがい~
産婦人科病棟主任 打越 豊子(助産師)

 1999年産婦人科病棟立ち上げのオープニングスタッフとして、年間1,200件ものお産を取り扱う大きな病院勤務から東葛病院に再就職することを決意した。以前は初めて会う産婦さんの分娩介助が当たり前で、印象に残らないことが多かったが、当院に入職して妊婦健診から関わることで、信頼関係を築きながらお産に立ち会えるようになり、助産師としてはとても楽しくやりがいのある毎日を過ごしていた。しかし2004年、医師体制が取れなくなり、やむなく産科病棟を休止することになってしまう。立ち上げたスタッフの一員としては、残念でたまらなかった。きっとまた、同じスタイルで産科を再開することを信じ、7年間外来業務に携わってきた。その甲斐あって7年ぶりに病棟がオープンし、分娩の介助が行えるようになった。


●診療所での妊婦健診

 前回の当院産婦人科病棟を知る助産師は私一人となってしまったため、助産師間の力量の差や漏れがないようパスを使用しており、妊婦さんとも共有できるように活用している。個別には、"どんなお産がしたいか"について保健指導を通して、イメージを膨らませられるような話をする中で「そんなこともできるんですか?」と喜ばれ、当院での出産を決めてくれる妊婦さんもいる。

 また、妊婦健診でマンマチェックをすることで、妊婦さん自身の出産・母乳育児への意識を高められるよう心掛け、これまで2例の出産とも完全母乳で退院を迎えられたことは、幸先の良いスタートを切ることができたと思う。

 全国的には、医師業務の負担を軽減のためにと、助産師が主体的に妊婦健診を担う助産外来で、エコー片手に活躍中だが、当院でも「エコーをしながら保健指導に当たりたい!」と医師の指導の下、特訓中である。妊婦さんたちが、一番楽しみにしている性別が診られるには、まだまだ時間がかかりそうだが、皆意欲を高く持ち奮闘している。

> また、今回開設に当たって集まってもらった助産師にとっては、何もかもが初めてのシステムであるため、最初は一緒に行動し、回数を重ねることで自信を持ち、一人ひとりが生き生きと活躍できるように働きかけていきたい。

●婦人科外来から病棟へつながる関わり

 常勤医師は2名とも女性医師であるため、健診やドックでの子宮がん検診以外にも、月経不順・不妊症・更年期障害・老年期の性器脱の患者さんも多く、細やかな対応が望まれる。また、外来・病棟一体化されていることで、手術前後の継続看護が実践でき、患者さんからも「入院してからも知っている看護師さんなのは安心ね」という声をいただいている。

●今後の課題

 つくばEX開通後、著しく人口増加傾向にあった流山は、大震災の後ホットスポットとなり、人口増加が伸び悩み、ひいては出生率の増加にも疑問が残る。しかし、地域に根付いた病院、HIV拠点病院として、今後多様な妊娠・出産に対応できることが望まれてくることを想定し、産婦人科スタッフ一丸となり、知識の習得に努めていきたいと思っている。

看護NOW