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第90回 透析室21年の取り組み

桃井診療所師長 宮澤和美

 

●透析患者の高齢化

 桃井診療所は、代々木病院のサテライトとして、当時の健友会の中で初めての透析室として、1991年9月1日に開設し、丸21年を過ぎました。

 その間、患者さんの状況はかなり、変化してきました。

 高齢化が進み、80歳代、90歳代で導入される方が増え、それに伴い多数の合併症を抱えるケースも少なくありません。

 自立している患者さんばかりでなく、杖や歩行器を使用しながら何とか一人で頑張っている方、車椅子でヘルパー介助にて通院されている方、認知症で4時間透析がやっとの方…。

 この20年を振り返ると、介護保険の導入とともに、医療と介護が連携しあってサポートしなければならない患者さんが増えてきています。


●援助を必要とする患者さんへのサポート

無料送迎バス「さくら号」
無料送迎バス「さくら号」

 独居で介護保険を導入し、何とか透析へ通院。経済的な問題もあり、通院手段をどうするかという壁にぶちあたり、それを少しでも回避できればと、約8年前から無料送迎バスを運行しています。それに伴い、高齢、独居、生保という困難ケースも増えているという実態があります。

 透析を受けることになった誘因として、もともとの病気のコントロールが不十分であったこともありますし、認知症患者の増加により、内服、食事、水分管理およびセルフケア(フットチェックを中心として)ができない方も多いため、スタッフによるサポートが必要になります。

 そのため、特に問題のある方は、自宅での生活状況を把握するために、家庭訪問をしたり、担当者会議に出席し、情報を共有するようにしています。


●透析療法をスムーズにするための取り組み

薬は一包化毎回渡しで
▲薬は一包化毎回渡しで
ジェットバスによる炭酸浴
▲ジェットバスによる炭酸浴

 内服管理に関しては、一包化毎回渡しでかなり確実に内服できるようになりました。

 フットケアに関しては、約4年前から全員定期的にフットチェックを実施。その中か ら、ローリスクの人は3ヵ月、6ヵ月に1回、糖尿病、閉塞性動脈硬化症の方は1週間、2週間、1ヵ月と状況に合わせチェックしています。フットケア担当者 がスケジュールを組み、病変がある場合は毎回チェック(ケアも含め)というように、皆で取り組んでいます。

 最近はジェットバスによる炭酸浴も行い、丁寧なケアを心がけています。なかにはフッ トバスを楽しみにこられたり、非常に和やかな表情をされる方など、合併症の予防だけではない効果も上げています。透析の途中や終了時に行うには、スタッフ の協働なしにはできませんが、私たちの継続に患者さんたちが快さを感じていてくださることが、モチベーションの維持につながっているのだと思います。


●さいごに

 透析患者も糖尿病性腎症が首位となり、常に合併症予防を考慮しながらかかわっていかなければなりません。患者さんのQOLを維持しつつ、よりよい透析治療を提供できるように今後も向上心を忘れずに、スタッフ一同努力していきたいと思います。

看護NOW