外苑診療所師長 大井安子


外苑診療所は、1950年に開設された歴史ある診療所です。
代々木病院開設と同時期に神宮前2丁目の外苑西通り、通称キラー通り沿いのビルの中に准看護学校とともに創設されました。都営霞ヶ丘団地の住民の皆さん、神宮前地域の皆さんの中で根付き、支えられ、友の会ならびに「乙女会」という強力なファンクラブのさらなる後押しを受けながら前進してきました。1986年、現在地に移転し、2006年、同ビルの2階から1階へ移動。機能的にもより利用しやすくなりましたし、2階にあった時より断然目立ち、周囲への認知度も高まり、受診率の向上につながっています。
診療所の活動内容にも大きな変化がありました。クリニック千駄ヶ谷の在宅部が移動合同し、在宅管理患者数は3倍規模、150名と法人内では東葛病院付属診療所についで大きな規模になりました。外来診療だけでなく健康診断や訪問診療などに幅広く取り組んでおります。また、代々木病院や10ヶ所の訪看ステーション等と連携し、医療を展開しております。
外苑診療所の地域は最近、小さいながらしゃれたアパレル関係の店舗が目立つようになりました。飲食店も新しく進出したイタリアンレストランや中華屋さんがあり、原宿が近いということもあり街の変化が感じられます。一方で外苑診療所付近にはこれといった目印がなく、患者さんに場所をなかなか説明しにくい所があります。角地のビルの1階の自動ドアが開くとすぐ、窓口で若い男性事務員が丁寧に患者対応してくれています。古くから利用されている患者さんは、安心しておなじみの顔に相談にのってもらえるということで評判はいいですよ。医師は体制の厳しい中、パート医師ではありますが、予防注射など小児に定評のある"美人の女医さん"が長く当診療所で働いてくださっており、若いお母さんのみならず地域の皆さんの信頼をえています。9年間所長をしていた梅津先生も、代々木病院より週1単位ではありますが診察を受け持ってくださっております。その日の朝は、診療所のシャッターが開く前から、たくさんの患者さんが待っていてくださっています。みんなで支え合いながら、良い医療を提供できるように頑張っています。

外苑診療所の訪問診療は、今また変革の時期を迎えています。今後のありようを検討し、患者さんやご家族の皆様に、より良い医療サービスが提供できるよう努力していきたいと思っています。24時間支援診療所として、最大の課題となっている「当直医体制」が具体化されるべく取り組まれていますので、期待したいと思います。
外苑診療所の地域の状況も変化してきており、患者層も変わりつつあります。周囲は中小の事業所が多くあり、外来の新患も診療圏外から通う、働き盛りの方が48%(10月末時点)となっています。従来から利用されている地域の方々はお亡くなりになったり、引っ越されたりして数は減りつつあります。今、外来は事業所健診にも力を入れている所です。
法人の研修医制度では、次年度から家庭医の医師育成が開始されます。より診療所らしい医療展開実現をおおいに期待し、私たちも地道に地域医療を継続していきたいと思います。